08.29
《芸術分析者とアーティストの関係》
《芸術分析者とアーティストの関係》
芸術分析においては、分析者がアーティストの主体に侵入し、それまでアーティストの心が覆いかくしていた領域に入ろうとします。すると、アーティストは当然の反応として否認をする段階があります。
そのときに、芸術分析者としての彦坂尚嘉は「それは違うだろう。それは否認だ。その奥にもっと真実が隠されているはずだ」という姿勢を示すことをしません。
普通のフロイトに始まる精神分析では、否認を否定して、さらに分析を進めていくというのが、あらかじめ方法論の中に折りこみ済みなのですが、彦坂尚嘉の芸術分析では、それをやりません。なぜなら芸術制作においては、《否認》は重要な方法であるからです。
芸術分析のワークショップにおいては、アーティストは、精神病の患者ではないし、治療を受けている受け身の存在ではなくて、アーティストという立場での主体なので、分析者の彦坂尚嘉は、その主体を認めるし、主体であることを肯定します。
しかし考えてみれば、芸術分析者とアーティストいう二人きりになるワークショップ室の中で、アーティストの《否認》や《嘘》《隠蔽》を認めると、芸術分析者は、何をなし得るのでしょうか?
芸術分析と、精神分析の方法の違いは、『芸術分析』においては《芸術分析者の中立性》は無いと言うことです。芸術分析者である彦坂尚嘉は、言語判定法という方法を使って、言語のもつ構造を介して主観的な批評を語るのです。それをアーティストが《否認》することは自由ですが、芸術分析者は、アーティストの《否認》《嘘》《隠蔽》を聞きながら、再度、言語判定法での分析をしていく。芸術において重要な事は、アーティストは、自分の病気や欠点を直すことでは無くて、その病気や欠点、欠損、不完全さを自分自身で引き受けて行く事だからです。
精神分析の場合の治療者は、治療する分析者の見方を絶対に正しいとみなすかたちで判断されていくといわれますが、芸術分析の場合は、分析者は絶対に正しいという立場は取りません。
あくまでもアーティストの他者としての距離をとって、他者としてそのアーティストの人格や作品を、言語を介して映し出すという鏡の機能をしていくことが芸術分析の役割です。
そのような芸術分析を進めながら、一方で、全人類にとって芸術の普遍性とは何かの基本の基本をレクチャーしていきます。あらゆる流派や、様々の芸術思想の差異を超えた《全人類にとって芸術の普遍性》を見据えることを教えないと、芸術分析と、芸術教育は意味をなさないからです。
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今日では、美術批評は、非常に弱ってしまいました。しかし元々の美術批評は、アーティストが書いていたのであって、それはギリシアの昔から始まります。ですから、アーティストである彦坂尚嘉が、今日の個人主義でマイクロ・アーティストの時代に適合した美術批評の一つのスタイルとして、芸術分析を編み出し、そしてそれをワークショップとして開講するのです。
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《個人のための芸術分析ワークショップ》
の開講について
基本的に個人授業ですので、初期には、各個人ごとに10回で、柔軟にスケジュールを取ります。
1,彦坂尚嘉の《個人のための芸術分析ワークショップ》 は、個人情報の厳格な守秘義務をお約束(捺印した誓約書を発行)した上でなされます。
2.彦坂尚嘉の《個人のための芸術分析ワークショップ》 は、芸術作品を制作したい人、アーティストをめざす人、あるいは現代アートのコレクター、芸術批評を執筆したい人、を対象にした芸術分析ワークショップです。
3,《個人のための芸術分析ワークショップ》では、参加者が持参した作品(美術・写真・文章)について、一人ずつ彦坂尚嘉が講評していきます。一つの作品に【簡易芸術分析】を手書きのメモでお渡しします。
4,本人の積極的な希望があれば、その受講者の人格の芸術分析を彦坂尚嘉がしていきます。その場合には3段階があります。A.簡易分析、B.標準分析、C.詳細分析ですが、まず、簡易分析書の発行は、本ワークショップの費用内で発行いたします。近影の顔写真1枚。普通の形式の履歴書1枚。最近の作品1点を用意してください。(中級分析、本格分析については、このワークショップのオプションです。)
5.芸術というのは、その人の人格と深く結びついています。したがってその人の人格に合っている芸術作品を収集し、学ぶことが重要です。そしてその人の人格に合っている芸術作品を作ること以外には、できないのです。しかし人格そのものは、非常に複雑ですので、簡単な分析結果がすべてを示すわけではありません。ある程度の時間をかけても、ある程度の分析しかできません。ジャック・ラカンの教育分析は10年と言われていますが、本講座の最大は9年ですが、最短は10回の面談ということです。それでも自分自身を知り、自分自身に合った芸術の方向を明確にする事ができると、その人の人生にとって、一定の有効性があると思います。
6.この《個人のための芸術分析ワークショップ》 は、鶴見 済著『人格改造マニュアル 』が問題にしているような、いわゆる”人格改造講座”的な指導はいたしません。彦坂尚嘉の哲学的なバックボーンはキルケゴールです。キルケゴールの『死にいたる病』を中学生で読んで、その後も繰り返し読んでいます。ですので、自分に対して絶望しいていたとしても、あくまでもその絶望する自分自身の人格それ自身になっていくという道を重視します。「己自身を知れ」と言うことです。したがって、自分とは違う自分になろうという願望を持っている方には、このワークショップは向かないのです。
7.制作の指導であれ、製作技法の指導や情報提供である、その人の人格にあった芸術指導をしていきます。
美術・写真の作品の芸術分析を受けることを通じて、美術作品・写真作品を作るプロセスでとくに大切な「比較する」ことのセンスを磨くきっかけになるでしょう。制作、芸術分析、制作……をくり返すことで、作品制作、あるいはコレクション・収集のの質を確実に高めることができます。また、それぞれの作品を制作するうえでの、素材技術の選び方、制作方法、展示についてのサゼスチョン、自分の人格にあった参照しておくべき過去の名作作品についてアドバイスが受けられます。
会期 / 受講料
【直接面談ワークショップ】
毎週土曜日 朝10:00~12:30 10回を1期として、毎週開講(完全個人授業ですのでスケジュールは不定期)
1期(10回) ¥35,000- 受講初日に会場にてお支払い
【間接通信ワークショップ】
毎週日曜日 21:00〜22:00 20回を1期として、毎週開講(完全個人授業ですのでスケジュールは不定期)。Skype、line等の使用による対話と、メールによる作品画像の送付。PowerPoint等による情報の送付。
1期(20回) ¥43,000- 振り込みでのお支払いを確認してから、受講開始。
会場
竹林閣
東京都新宿区新宿5-14-3 有恒ビル6F
※有恒ビルの1Fには「鍵の救急車」がある。
お問い合わせ
芸術分析塾ラカン 事務局:糸崎公朗
メール:itozaki itozaki.kimio@gmail.com
携帯:080−3605−5912