10.12
秋元康と吉増剛造
昨日の詩の授業は面白かったです。秋元康と吉増剛造を取り上げました。
秋元康は、作詞家として、シングルの総売上が、それまでの阿久悠を越えて、詞家歴代1位となった人です。計506作品で、6859.1万枚を売っているのです。その三分の1が、AKB48です。
もう一方の吉増剛象は、プロの作詩家として評価が確立しています。吉本隆明は「日本でプロフェッショナルだと言える詩人が三人いる。それは田村隆一、谷川俊太郎、吉増剛造だ」と評しているというのです。
さて、つまり比較の対象として、プロ同士の二人の詩人という取り合わせです。
秋元康は、《想像界》だけの作詩家で、一方の吉増剛造は、《想像界》《象徴界》《現実界》《サントーム》《ディープミステリ》の5界ある詩人です。しかしその分析だけでは、吉増剛造が、何故にプロの詩人であるのかが、分かりません。今日の高度消費社会の中でプロであるということには、特有の秘密というか、魔法が使われているのです。
三大プロ詩人の中で、谷川俊太郎は分かりやすいです。秋元康と同じに《想像界》だけの詩を書いているからです。しかも三流で、ポップというか、コミュニケーション領域の詩ですので、平明で多くの人に受け入れられる商業性があるのです。
高度市場社会で受け入れられるプロ性というのは、教養の無い人々に、努力をしないで理解できる詩を書く必要があるのです。
では田村隆一はどうか?
《想像界》と《象徴界》しかない。その意味ではエジプトのような古代帝国の時代と同じリテラシーです。レストランで言うと《想像界》と《象徴界》しかない料理をだして成功しているのは山田うどんです。田村隆一の死は、山田うどんの誠実な味に対応する面があるのです。
谷川修太郎も、田村隆一も平明な詩が売り物ですが、三大プロ詩人の中で、吉増剛造の詩は、難解であります。、にもかかわらず、プロである。その秘密を分析する授業でありました。
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プロの作詩家の小路真耶さんにご参加いただいて、商業的な詩の作り方をご指導いただいている授業でもあるのですが、今日一番売っている秋元康に絡んで、非常に分かりやすく、今日の《想像界》だけのイメージの展開を教えていただき増した、プロとしての作詩の演習を、Aメロ、Bメロ、Cメロと展開して行くことのむずかしさを含めて、ご指導していただきました。