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毎週木曜日に新宿三丁目の竹林閣で、塾と展覧会を開催しています。

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プロフィール

彦坂尚嘉

Author:彦坂尚嘉
彦坂尚嘉 美術家。アート・ネットショップ『きたいぶんしギャラリー3000』主催。ヴェニスビエンナーレ、サンパウロビエンナーレ、パリ青年ビエンナーレ出品。クイーンズミュージアム、テイトモダーン出品。芸術分析家、元立教大学大学院比較文明学特任教授。1946年東京生まれ。多摩美術大学油彩科中退。

糸崎公朗 フォトモ・アーティスト。『子供の科学』『デジカメwatch』連載。1965年長野生まれ。東京造形大学デザイン科出身

生須芳英 アーティスト。ノイズ音楽家。1991年生まれ。多摩美術大学夜間部中退。

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日本の文化の根底に《野蛮》があるということ

日本の文化の根底に《野蛮》があるということは、何処かでは知っていたことです。
政治的には、1935年に『国体明徴声明』というのが国会で決議されるのですが、それは明治憲法を定めて立憲君主制を取ってきた根本を否定するもので、非常にまずいことでありました。

もう一つは、1977年の日本赤軍のダッカ日航機ハイジャック事件の時の超法規的措置という決断です。
こういう法レベルの裂け目は、日本という《文明》が、実は《文明》の基盤を欠いているということを、露骨に示していたのです。

そのことが法のレベルに留まるはずは無くて、美術においても同様の問題が出現して、日本の現代美術/現代アートは、《文明》性を確立することが難しくて、《野蛮》に流れ落ちてしまう傾向を強く示してきました。
しかしこういう《野蛮》性は、実は日本だけではなくて、ロシアや中国、さらにはドイツにも見られるものです。

「《野蛮》でも《文明》でもどちらでも良いではないか!」

そういう意見を言いたい気持ちは分かりますし、現実は両立してしかいないので、どちらでも良いとは言えますが、しかし《野蛮》と《文明》の差は、実にはっきりとあることも確かなのです。

基本は《準-文明》が日本です。日本の伝統芸術の多くも《準-文明》です。

しかしその中に《文明》もあるのです。何よりも『鳥獣人物戯画』『伴大納言絵巻』『信貴山縁起』という漫画の源流が、《文明》なのです。

大和絵の流れは、日本美術の重要な《文明》という骨格なのです。
宗達は《文明》です。
北斎漫画も《文明》です。
山岸凉子の『日出処の天子』は《文明》です。
大島弓子の『綿の国星』は《文明》です。

しかし池田理代子の『ベルサイユのばら 』は《野蛮》です。
そして手塚治虫の『リボンの騎士』は《野蛮》です。

あまり同意を得られそうも無い私の意見ですが、確かに《野蛮》と《文明》は紙一重で相克していて、判断は難しいのです。

諫山創の『進撃の巨人』は《文明》ですし、
大友克洋の『AKIRA』は《文明》です。

しかし村上隆は《野蛮》です。

そういう中で、《野蛮》と《文明》の2重構造、さらには《野蛮》《準-文明》《文明》の3重構造の成立が、今日の文化の構造として重要になってきています、と言うのが私の主張です。

こういう主張をすることは、『君が代』という国歌が《絶対零度》の《野蛮》な歌であるという事実を引き受けた上で、現代美術を、私が老人になっても、執念で《文明》として屹立させようと意志するときに、編み出した方法であると言えます。

(本音を言えば、『君が代』とは別に、国民主権の新しい国歌を制定して2本建てにしたいですね。そして靖国神社とは別に、国立千鳥ヶ淵戦没者墓苑を本格的に拡大して2本立てにした欲しいですね。まあ、しかし夢ですね。)

日本は、アメリカではありません。
日本映画は、アメリカ映画ではありません。
日本のテレビドラマは、アメリカのテレビドラマではありません。
日本の現代美術は、アメリカの現代美術ではありません。

しかし日本の現代美術は、人類史700万年を対象化して、人類史の進化とその多様性の正当性に、参加しつづけることを意志する必要があると、私は思います。

それを意志しつづけていく事が、彦坂尚嘉というアーティストの、人類の希望に対する貢献です。

絶望の時代に、希望への貢献を目指すこと。

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