09.04
『逆三角関係展Vol.26』
【彦坂尚嘉のコメント】
私はお休みいただいて、楽をさせてもらいます。実は新作で欲張りすぎで、座礁しています。頭で考える作業は、制作がらみだと大変ですね。まあ、もう少し頑張ります。
さて、柳川たみさんが、頑張ってくれています。柳川さんに限らないのですが、若い作家を見ていると、つい、その作家の将来を描いてしまうのですが、ことごとく私は失敗しますね。その人が持っている欲望というのは、私が推察できるものではないのです。
多くの人は《野蛮》なので、野蛮な欲望を持っていて、たとえば『ぴあに載りたい!』という欲望の学生は、展覧会をして『ぴあ』の展覧会案内に載ると、欲望は終わってしまって作家活動は中止するのです。
子供を作って止める人も見てきていますが、それが悪いとは思いませんが、人間の欲望というのは、そう言うものなのです。結婚して終わるとか、就職して終わるとかいうのも、悪いとは思いません。だいたい18歳までは美術作品を作りますが、だいたいそこで足を洗うものなのです。
足を洗うといって、洗わなかった人も知っていますが、一つは自己欺瞞の問題でして、自己欺瞞で制作している場合に、それを美術の問題と言えるのかどうかは、難しいです。そういう人の場合、子供の頃の絵から公開しているのですが、代表的なのは大竹伸朗ですが、子供の頃の作品と現在の作品が延長性を持っていて、つまり成長による断絶がないのです。後二人知っていますが、名前は言えませんが、私は同じような疲労を覚えます。
こういう作品が、美術作品の問題なのかは疑問です。子供のままで居つづけると言うことであって、それは【生命力0】のアーティストなのです。
【生命力0】のアーティストっていうのは、実は《近代》特有の現象でありまして、古代文明や中世の時代にはいません。原始美術にもないのです。
美術を制作することが、子供のままで居つづけたいという欲望であるというのも、私には飽きてしまっています。日本には、【生命力0】のアーティストは多いのです。私は、もう、うんざりしています。
さて、そう言う中で柳川たみさんは【生命力100】のアーティストです。
そして糸崎公朗さんも【生命力100】のアーティストです。
そして多摩美の助手をやっている日本画家:花牟礼有基さんは、恐竜の日本画を大画面で描いていますが、【生命力100】です。
【生命力100】が何であるかも難しいですが、少なくとも足を洗うと言って自己欺瞞を続けるアーティストとは、何か、決定的に違うのですね。
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【糸崎公朗さんのコメントです】
9月8日(木)に開催の『逆三角関係展Vol.26』のお知らせです。
会場は新宿の「竹林閣」で、隔週木曜日に開催しておりますがその26回目です。
http://gyaku-sankaku.zombie.jp/kitaibunshi/
今回はゲストアーティストに花牟禮有基さんと柳川たみさんを迎え、レギュラーメンバーは私糸崎公朗が出品します。
花牟禮有基さんは2013年多摩美術大学 博士前期課程 美術研究科 日本画領域 修了で、今回は日本画の伝統的な画法で巨大な恐竜を描いた作品を発表される予定です。
柳川たみさんは「逆三角関係展」への参加は3回目ですが、「発表したい作品があるのでぜひ」という本人の希望によって、参加が決まりました。
私は今回は「フォトモ」の新作を出します。実は、世界で最初にフォトモを作ったのは、私は確認した限りではマルセル・デュシャンです。私はデュシャンのミニチュア作品が収められた『トランクの中の箱』に、角砂糖の作品の「フォトモ」が含まれているのを、高松市美術館の企画展で確認したのです。デュシャンのフォトモは、私のフォトモとはちょっと作り方が違っていて、ですから私はそのデュシャンの製作方法を採り入れたフォトモを作ってみようと思った次第です。
みなさまのお越しをお待ちしておりますので、どうぞよろしくお願いします。